火の章 サルに学ぶ





  12 周稔豊老師の「サル」と「機敏なサル」 


 五禽戯を、私は「周稔豊」という中国の老師から学びました。今から、20年ちょっと前のことです。

 ただし、周老師に直接習ったわけではなく、ビデオ(華陀五禽戯 自然と科学社刊)を見て習いました。それ以降、いろいろな五禽戯を知りましたが、結局、身についたのは周老師の五禽戯でした。最近はユーチューブを検索すれば、いろいろな五禽戯を見ることができるでしょう。

  しかし、もし、この周老師の「華陀五禽戯」を知っている人が、「機敏なサル」を見れば、まったく別物に見えることでしょう。

 それは私の「機敏なサル」の動作は、「周稔豊のサル」を教室で生徒に教え、自分でも実践しているうちに、動きが変化していった結果の動作だからです。

 周老師の教えるサルの動作は、「順歩」「順歩」「逆歩」、「順」「順」「逆」を繰り返して歩いて前進していきました。つまり、前進、前進、一歩後退、前進、前進、一歩後退を繰り返して前進していきスペースがなくなったら、くるっと180度振り返って、逆に前進して練習できるようになっているわけですが、練習場所は、ある程度広くなくてはいけません。   

 私は、それを、前進していかないで、一か所で練習できるように工夫してみたのです。それが、ここで紹介する「機敏なサル」の動きです。

 この動きは、まず左を向いて「逆歩」になり、つぎに左手を突き出して「順歩」、それから体重を右足に戻して「逆歩」になります。つまり、左斜めに向いて「逆歩」「順歩」「逆歩」、クルッと右斜めに向きを変え、「逆歩」「順歩」「逆歩」と、これを繰り返して練習するのです。

 こうすると、練習するためのスペースは、畳一畳分ほどでもよくなります。



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